ガイド

2026年版 シムレーシングセンターの開き方:費用、機材、ライセンス、料金設定

これから開業する運営者のための、出典付きの実践ガイドです。どの店舗モデルを選ぶか、シミュレーターは何台か、公開されている費用の目安が何を示しているか、多くのガイドが見落としているライセンス、そしてセッションの価格設定と販売方法を順に解説します。

最初の一歩

店舗モデルと規模を決める

シムレーシングの店舗は大きく3つのタイプに分かれ、その選択がその後のすべてを左右します。専門のシムレーシングセンターは走行時間を主力商品として販売し、常連客、チャレンジ、グループイベントで成り立ちます。レジャー施設やゲームセンターは、ほかのアトラクションの横に数台のシミュレーターを置き、フリーアクセスや1プレイごとの課金で運営することが多いでしょう。バー、ラウンジ、既存の事業(カート場、ジム、自動車ディーラー)は、集客と滞在時間の延長のためにシミュレーターを導入します。

では、何台必要でしょうか。中立的な答えはなく、あるのはメーカーの見解だけです。ターンキーのセンターを販売するシミュレーターメーカーのACTORACERは、センターは「6台以上のシミュレーターで採算が合う」と書き、2〜4台は既存事業への追加として位置づけています(ACTORACER、英語)。別のシミュレーターメーカーであるSim Coachesは、小規模店舗を4〜6台、中規模を8〜13台、大規模を15台以上としています(Sim Coachesのガイド、英語)。どちらもシミュレーターを販売している企業なので、これらの数字はルールではなく業界の一意見として読んでください。

早い段階で考えるべきもうひとつの制約が床面積です。Sim Coachesはシミュレーター1台あたり150〜200平方フィート(約14〜19 m²)を見込むよう勧めており、店舗向けソフトウェアを提供するMultitapは、4〜6台で最低1,500平方フィート(約140 m²)としています(Multitapのガイド、英語)。これはラウンジスペースを備えた本格的な店舗を想定した米国の数字です。バーの一角に2台置くだけなら、当然はるかに少なくて済みます。

  • 自店のシミュレーター同士でマルチプレイのレースをするには、同じローカルネットワークにつながっている必要があります。レイアウトと一緒に配線も計画しましょう。
  • グループイベント(誕生日、企業、貸切パーティー)には、通常、同じ仕様の筐体を複数台並べる必要があります。
  • ランキングを表示する画面のためのスペースを確保しておきましょう。お客様に再来店してもらう、最も安上がりな方法です。

予算

費用はいくらか:公開されている目安と、その限界

私たちはセンター開業費用の独自の試算を公表していません。欧州の賃料、内装工事、エネルギーに関する独立したデータを持っておらず、正直な答えはお住まいの都市と選ぶ機材によって変わるからです。存在するのは、業界の企業が書いたガイドです。誰が書いたかを踏まえたうえでなら、費用項目のチェックリストとして役立ちます。

2026年1月付のMultitapのガイドは、米国で6〜8台規模の店舗について次の目安を示しています(出典、英語)。

  • レーシングシミュレーター(6〜8台):30,000〜80,000ドル、ゲーミングPC:12,000〜24,000ドル、ディスプレイ:6,000〜15,000ドル。
  • 賃貸の保証金と内装工事:15,000〜40,000ドル、家具と装飾:5,000〜15,000ドル。
  • ソフトウェアとライセンス:2,000〜5,000ドル、マーケティングと開業告知:3,000〜10,000ドル。
  • 3か月分の運転資金:15,000〜30,000ドル。ガイドが示す合計:88,000〜219,000ドル。
  • 2026年3月付のSim Coachesは、さらに次を挙げています:内装工事15,000〜60,000ドル以上、電気工事3,000〜10,000ドル、ネットワークとAV機器2,000〜8,000ドル、そして3〜4か月分の賃料の前払い(出典、英語)。

これらの数字の読み方

注意点が3つあります。第一に、これらは事業者が出した米ドル建ての数字です。Multitapは店舗管理ソフトウェアを、Sim Coachesはシミュレーターを販売しています。第二に、どちらのガイドもレースゲームそのものの商用ライセンス(後述)に触れていませんが、これだけで大きな費用項目になり得ます。第三に、賃料、エネルギー価格、人件費、付加価値税は国によって大きく異なり、どのガイドも欧州の数字は示していません。

役に立つのは予算の構造です。筐体ごとの機材、店舗(賃貸契約、内装工事、電気工事、換気)、ソフトウェア、ライセンス、開業時のマーケティング、そして数か月分の運転資金。賃貸契約に署名する前に、各項目について地元で見積もりを取りましょう。

機材

シミュレーター1台に必要なもの

具体的な機材はあなたが選ぶもので、予算の最大の項目でもあります。何を選んでも、各筐体は同じ構成要素で成り立ちます。

Windows PC

シムレーシングセンターで最も普及しているゲームであるAssetto Corsaは、Windows PCで動作します。Omnisimを使う場合、各シミュレーターにWindows 10または11と、ゲームを所有するアカウントでSteamからインストールしたAssetto Corsaが必要です。Content ManagerとCustom Shaders Patchは不要です。

ハンドル、ペダル、シート

ホイールベース、ペダル、コックピットは、お客様が体で感じる部分であり、消耗する部分でもあります。初日から予備部品とメンテナンスの手順を用意しておきましょう。

画面

大型画面1枚、トリプル画面、またはVR。この選択は床面積、PCの性能、そしてお客様の入れ替え時に筐体をどれだけ早く準備できるかに影響します。

筐体のロックを解除する手段

各筐体にスタッフを置くか、セルフサービスにするか。Omnisimでは、お客様が各シミュレーターに取り付けたUSBリーダーでQRコードをスキャンします。ほとんどのUSB QRリーダーはそのまま使えます。QRリーダーの接続方法をご覧ください。

ネットワークとインターネット

マルチプレイ用に筐体間を有線のローカルネットワークで結び、ソフトウェアがOmnisimのようにチケットをオンラインで確認する場合は常時接続のインターネット回線が必要です。動作要件の全体はマニュアルにあります。

ハンドルだけで操作

セルフサービスでは、お客様がマウスやキーボードを使う必要があってはいけません。メニュー操作をハンドルのボタンとパドルに割り当て、プレイヤーがハンドルだけでレースを設定できるようにしましょう。

ライセンス

Assetto Corsaの商用ライセンス:多くのガイドが飛ばしている項目

Steamで購入したAssetto Corsaは、個人利用のためにライセンスされています。その使用許諾契約書には、大文字で次のように書かれています。「THE USE OF THIS SOFTWARE IS NOT ALLOWED IN ANY WAY IN PUBLIC, AND/OR FOR PROMOTIONAL, ENTERTAINMENT, TRAINING, EDUCATIONAL OR COMMERCIAL PURPOSES, FOR FREE OR NOT, WITHOUT AN EXPLICITE, WRITTE PERMISSION PROVIDED BY KUNOS SIMULAZIONI SRL.」つまり、有料・無料を問わず、Kunosの書面による許可なしに公共の場や商業目的で使うことはできません(SteamのAssetto Corsa使用許諾契約書、英語)。

実際には、有料の店舗にはゲームの開発元であるKunos Simulazioniの書面による許可が必要です。Kunosは価格表を公開しておらず、窓口は問い合わせフォームで、商用ライセンス専用の件名が用意されています。Modや実在の自動車ブランドについては、別の問題が生じます。公式の情報源が何を述べ、何を述べていないかは、Assetto Corsaの商用ライセンスのガイドで説明しています。

機材を購入する前に、この項目をリストに入れてください。早めにKunosに問い合わせ、書面での回答を保管し、その内容を予算に反映させましょう。Omnisimはこのライセンスを提供も再販もしていません。どの店舗向けソフトウェアも、代わりに取得してくれるわけではありません。

ソフトウェア

ソフトウェア構成:カバーすべき業務

Calibrated Communicationの店舗向けソフトウェア比較(英語)は、市場をシミュレーター制御の層と店舗運営の層に分けています。1つの製品を使うにせよ複数を組み合わせるにせよ、カバーすべき業務は次のとおりです。

オンラインで販売し、決済を受ける

お客様がセッション、回数券、パスを購入してカードで支払う予約ページです。Omnisimは商品を販売してQRコードをメールで届けます。特定の筐体を特定の時間に予約する仕組みではありません。シムレーシング予約ソフトウェアをご覧ください。

ドライバーに再来店してもらう

ラップタイムのランキング、チャレンジ、店内のテレビ画面が、常連のお客様に戻ってくる理由を与えます。シムレーシングのランキングをご覧ください。

機材全体を見守る

どの筐体が走行中か、待機中か、オフラインかを把握し、遠隔で対応できることは、一日中店舗にいられなくなった時点で重要になります。シムレーシング機材管理をご覧ください。

料金設定

セッションの価格を決め、代金を受け取る

多くの店舗は3種類の商品を組み合わせています。決まった時間の単発セッション、単価を抑えて複数セッションをまとめた回数券、そして常連向けのパスや会員プランです。あくまで参考として、Multitapのガイドは米国の価格として30分25〜40ドル、1時間40〜65ドル、会員プラン月150〜300ドル、法人イベント1時間300〜600ドルを挙げており、Sim Coachesは30分のセッションで25〜45ドルとしています。実際の価格は地元の市場次第です。近隣の店舗がいくらで提供しているかを確認しましょう。

表示価格よりも重要なレバーが3つあります。オフピーク商品(空いている時間帯を安くする)は、平日の午後を埋めてくれます。パスには1日あたりの上限が必要です。そうしないと、ピーク時間帯に常連客が筐体を占有してしまうかもしれません。そして、お客様が時間の計り方を信頼できることです。有料のセッションがロード画面やメニューで目減りすれば、お客様は気づきます。Omnisimでは、実際に走行した時間だけがクレジットから差し引かれ、パスには曜日ごとの上限を設定でき、各商品を特定の時間帯に限定できます(パスの販売方法)。

決済について。オンラインで販売するなら、決済サービスと、会社名義のアカウントが必要です。Omnisimはご自身のStripeアカウントを使うため、お客様の支払いはOmnisimの手数料なしで直接あなたに入ります。Stripe自体の手数料はかかります(Stripeの料金、英語)。お住まいの国でレジャーサービスにどの付加価値税率が適用されるか、店頭販売をどう記帳するかは、会計士に確認してください。Omnisimにはカード決済端末がないため、受付で販売したチケットはダッシュボードで発行し、代金はOmnisimの外で受け取ります。

チェックリスト

開業チェックリスト(順番どおり)

  1. 01

    モデルと規模を決める

    専門センター、レジャー施設、既存事業への追加のいずれか。筐体の台数。グループとランキング画面のためのスペース。

  2. 02

    商用ライセンスについてKunosに問い合わせる

    機材を購入する前に。ライセンスガイドで説明している公式フォームを使い、書面での回答を保管しましょう。

  3. 03

    予算を項目ごとに組み立てる

    公開されている目安を項目リストとして使い、それぞれを地元の見積もりに置き換えます。筐体、PC、画面、賃貸契約、内装工事、電気工事、換気、ソフトウェア、開業告知、運転資金。

  4. 04

    店舗とネットワークを計画する

    複数のPCがフル稼働しても足りる電気容量と換気、筐体間の有線ネットワーク、信頼できるインターネット回線。

  5. 05

    ソフトウェアを選ぶ

    起動、販売、ランキング、機材管理の4つの業務をカバーしましょう。選択肢は店舗向けソフトウェア比較で比べられます。

  6. 06

    商品と価格を決める

    セッション、回数券、パス。オフピークの特典。法人向けパッケージ。決済アカウントと利用規約を整えましょう。

  7. 07

    すべての筐体を設置してテストする

    ゲーム、ハンドルに割り当てた操作、QRリーダーまたはロック解除の手段、筐体ごとに1回の完全なテストセッション、筐体間のマルチプレイ。

  8. 08

    再来店の理由を用意して開業する

    最初のラップタイムチャレンジを開始し、初日からランキングを画面に表示しましょう。

シムレーシングセンターの開業:よくあるご質問

シムレーシングセンターの開業にはいくらかかりますか?

独立した数字はありません。Multitapのガイド(2026年1月)は、米国で6〜8台の場合、すべての項目込みで88,000〜219,000ドルとしています。これは事業者による米ドル建ての試算で、ゲームの商用ライセンスは含まれていません。項目のチェックリストとして使い、地元で見積もりを取ってください。

有料の店舗でAssetto Corsaを使うにはライセンスが必要ですか?

ゲームの使用許諾契約書は、Kunos Simulazioniの書面による許可なしに公共の場や商業目的で使うことを禁じています。開業前に、問い合わせフォームからKunosに確認してください。詳細と出典はAssetto Corsa商用ライセンスのガイドにまとめています。

最初は何台のシミュレーターから始めるべきですか?

メーカーの意見は分かれています。ACTORACERは6台から採算が合うと書き、Sim Coachesは小規模店舗を4〜6台としています。適切な台数は、スペース、予算、グループイベントを予定しているかどうかで決まります。既存の店舗への追加としては2〜4台がよくある規模です。

筐体にスタッフを置かずにシムレーシングセンターを運営できますか?

はい。お客様がオンラインで購入し、シミュレーターが自動でセッションを開始・終了できれば可能です。それでも人の手が必要なことはあります。機材の故障、清掃、店頭での販売です。無人のシムレーシングセンターのチェックリストで、業務ごとに確認しています。

シミュレーターごとにインターネット接続が必要ですか?

ソフトウェアによります。Omnisimの場合は必要です。チケットはオンラインで確認されます。接続が切れても走行中のレースは失われませんが、接続が戻るまで新しいセッションは開始できません。

OmnisimはシミュレーターやAssetto Corsaのライセンスを販売していますか?

いいえ。Omnisimはソフトウェアのみです。ブラウザで使うダッシュボードと、各Windowsシミュレーター上の筐体ソフトウェアです。機材はお好きなメーカーから、商用ライセンスはKunosから入手してください。

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最初のセッションを始める準備はできましたか?

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